橋本敬三先生の本に共通していること
それは、書き下ろしの本がないということです。
「万病を治せる妙療法」は、農文協の「現代農業」に、「農業高校を出た人にも分かるように、健康に関することを分かりやすく書いて欲しい」という依頼から連載されたものです。
「からだの設計にミスはない」「誰にもわかる操体の医学」「生体の歪みを正す」も、全て既出の原稿をまとめたものです。
なお、「操体法の実際」については、橋本先生はあくまで監修の立場をとっておらえるので、厳密には橋本先生の著書ではありません。当時80歳を越されていたので「監修、ああ、いいよ」という感じで受けられたのではないかと。
写真解説集については、こちらも監修ということで、編集は川上吉昭先生です。
橋本敬三先生は現役を引退された際「きもちよさでよくなる」と言われました。その後90歳近くなった頃や、卒寿のお祝いの席で、弟子達に
- 楽ときもちよさは違う
その他にも、
- 動きより感覚の勉強をしなさい
- 呼吸は自然呼吸でいい(呼吸に意識を置きすぎると、感覚をききわけにくくなるから)
という言葉を残されていますが、これらの言葉は橋本先生の書籍には出てきません。橋本敬三先生に私淑(直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと)し、著書のみで学んだ場合、この辺りが抜けてしまうのが残念です。
橋本敬三著書
操体の考え方を学ぶ入門編としては最適。しかし写真やイラストは大雑把すぎて殆ど参考にならない。今昭宏先生が橋本先生に「これに書いてあること、間違ってますよね」と聞いたところ、橋本先生は「間違ってる」と言われたそうだ。それは「回数は2~3回とか、瞬間脱力ではなく、患者さんのきもちのよさにあわせて」というように、操体が変化してきたからである。 操体が「楽(な動き)から快(適感覚)」にシフトチェンジした模様は「操体の成り立ち」を参照下さい。★第一分析
「からだの設計にミスはない」と、重複する箇所がある。特筆すべきは、般若身経が「中心集約運動」として紹介されていること。第一分析
「般若身経」の中に、はじめて「膝のちからをほっ、とゆるめる」という表記が出てくる。第一分析
操体を学ぶ者にとってのバイブル。必読。第一分析
橋本敬三監修、共著
パネルディスカッション、コメンテーターとして発表したものをまとめたもの。
パート2。編集者がパート1で発表した先生方の、それぞれの地方での後援会などに行ってまとめたもの。
川上吉昭教授編集で、橋本医師は監修となっている。息食動想などには触れていない。英語に翻訳されている
80歳の時で「監修」というのは「名前貸し」のようなものである。厳密には橋本敬三医師の著書ではない。
操体は本来「症状疾患別」ではないのだが、巻頭に「この症状にはこの操法」という一覧表が載っている。
ここからして、橋本先生の意志にはそぐわないような気がするのだが。第一分析
翻訳版
「操体法写真解説集」の英訳
「万病を治せる妙療法」の英訳。操法のイラストと写真は全く役に立たない。また、写真の操者のポジショニングなどいい加減である。
Dr. Keizo Hashimoto’s idea is good translation. There are a lot of mistakes pictures.
三浦寛
一般向け入門としてもお勧め。私はこれを読んで操体を勉強しようと決意した。第一分析、第二分析
★おすすめ★
きもちよさをききわけ、味わう」ということができるようになったら、セルフケアの道が大きく開ける。
座位、仰向け、うつ伏せなど、ポジション別に紹介されている。第二分析
楽ときもちよさの違いについて明確に述べた本。皮膚に対するアプローチが紹介されている。
操体の理論がまとめてあり、臨床家を目指す場合はお勧め。第二分析、第三分析(皮膚へのアプローチ)★おすすめ★
操体臨床の要妙(たにぐち書店)
橋本医師は「全身形態は中枢神経を介して連動装置になっている」と書いているが、どのように連動するか、までは記していなかった。本書が出るまで、多くの操体臨床家は、「連動は皆それぞれ違う」と言っていたのだ。連動という概念を持ち込んだことで、操体の「動」の可能性は飛躍的に広がったと思う。
第二分析
第二分析
介助・補助」と「連動」について学びたい場合は本書がお勧め。末端関節(手関節、足関節)にどのように介助を与えるのかの説明がある。前2冊の「連動」を更に深めたもの。なお、表紙とイラストのモデルは私である。第二分析、第三分析
皮膚へのアプローチ、ON,OFF固定など、著者の様々な試みとその結果、色光現象など、新たな診断分析法も紹介されている。皮膚への可能性は大きいことを痛感させられる。第三分析
三浦寛、今昭宏、畠山裕美共著。月刊手技療法に「シリーズ操体」として連載されたもの。同連載は今も継続中。第一〜第三分析
私の1冊目の本です。改訂版を出したいと何年も前から言ってるんですが(笑)どこか出してくれませんか。第一分析
修正箇所が幾つかあるので、こちらをご覧下さい 「自著を斬る!」